一般不妊治療Fertility treatment

不妊治療は、検査結果を踏まえたうえで最適な治療方法をご提案し、進めていきます。 主には、自然受精を目的とした一般不妊治療と妊娠効果を高める高度不妊治療の2つの方法があります。

タイミング法

不妊治療といえば、人工授精や体外受精など高額な治療を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、「夫婦生活で自然に赤ちゃんができる」ことが理想的です。 不妊治療の方法には、大きくわけて3つのステップがあり、より自然な妊娠を促すのがこのタイミング法(タイミング指導)です。 簡単にいえば、正確に予測された排卵日にあわせて、夫婦生活(性交)を行い、自然妊娠を期待するという方法です。 しかし、ただ単にタイミングを合わせるという指導だけではありません。その一連の課程で不妊となる原因や効果を調べ、適切な治療方法を見出すことにもつながります。 不妊原因となる明らかな症状がある場合には、問題点を補ったり、取り除いたりするための投薬治療などもあわせて行うこともあります。

投薬治療

不妊検査で、薬剤でカバーできる原因が見つかった場合には飲み薬などの投薬治療を行いながら、治療をステップを進めていきます。

<投薬治療例>

●飲み薬/シクロフェニル製剤(製品名セキソビット)もっとも軽い排卵誘発剤です。クロミフェン製剤にくらべれば、排卵誘発効果はそれほど強くありませんが、目立った副作用もありません。
●飲み薬/クロミフェン製剤(製品名クロミフェン、クロミッドなど)軽い視床下部性の排卵障害や多嚢胞性卵巣(PCO)などに有効な脳に働きかけるタイプの排卵誘発剤です。現在もっとも広く使われています。 ただし副作用として、頸管粘液が少なくなる欠点もあります。
●注射/hMG(FSH)+hCG療法(製品名HMGフジ、フェリングなど+hCG製剤)クロミフェン製剤で効果がなければ、hMG+hCG療法(ゴナドトロピン療法)を試します。 hMG製剤やFSH製剤(製品名フォリスチムなど)は、卵巣に直接働きかけるタイプの排卵誘発剤。 効果は非常に強力で、ほとんどのケースで排卵を起こすことができます。 その反面、多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群(OHSS)などを発症する可能性もありますので、十分な注意と対策が必要です。 hCG製剤は、排卵に向けて最終的な成熟をうながす薬。 卵胞のサイズを超音波でチェックして、排卵直前に注射します。単独で用いることもあります。

人工授精(AIH)

人工授精は、排卵のタイミングにあわせて精液を洗浄し、直接子宮内に注入する治療法です。

人工授精は、専用のカテーテルを使用し、排卵のタイミングに合わせて運動性の良好な調整した精子を直接子宮内に注入して、自然な受精と着床を促します。運動が良好な精子を選別するために、精子分離剤を使用した攪拌密度勾配法と呼ばれる方法を用い精子の調整を行います。 人工授精で妊娠される方の90%は4~6回までに成功されます。そのためその回数を目安に体外受精へステップアップすることをおすすめします。

<精子の調整>
1.精子分離剤に培養液と混和した精液を重層し遠沈
2.死んだ精子・弱い精子は、精子分離剤を通過できない
3.精子分離剤を完全に取り除く
4.培養液で2回洗浄後、運動良好精子を回収

高度生殖医療ART

体外受精(IVF)

体外受精とは、体外に取り出した精子と卵子を体外で受精させることです。そして体外で培養し発育した胚を子宮に戻すことを胚移植といいます。

体外受精は以下の6つのステップで行います。

STEP 1 排卵誘発(生理開始3~10日頃まで)

排卵誘発とは・・・ 1回の治療あたりの妊娠率を高める為には、卵子を複数個育てる必要があります。その為に排卵誘発剤を使用します。排卵誘発には、卵子を育てる為のHMG製剤の注射、卵子の成熟を開始させるHCGの注射、自然排卵を抑えるGnRHアナログ(点鼻スプレー)を使用します。点鼻スプレーの使用期間の違いでロング法とショート法の2通りに分類されます。
ロング法
治療を開始する前の周期の黄体期(高温相)から点鼻スプレーを開始します。その後月経が始まったら、月経3日目からHMG製剤の注射を7日~10日間行います。注射の本数は卵胞の大きさをエコーで確認しながら決定していきます。スプレーは採卵2日前まで続けます。
ショート法
月経開始日から点鼻スプレーを開始します。月経3日目からHMG製剤の注射を7日~10日間行います。注射の本数は卵胞の大きさをエコーで確認しながら決定していきます。スプレーは採卵2日前まで続けます。

STEP 2 採卵(生理開始11~14日頃)

採卵は静脈麻酔をした状態で行います。超音波で卵巣の位置を確認しながら、細い針で卵巣を穿刺し、卵胞中の卵子を回収します。採卵時間は30分程度で、静脈麻酔をしますので痛みはありません。

STEP 4 培養(採卵から2日~6日後)

受精卵
培養2日目
(4細胞)
培養3日目
(8細胞)
培養4日目
(桑実胚)
培養5日目
(胚盤胞)

媒精させた卵は、体内と同じ環境の培養器に入れ、2日~6日間培養します。

STEP 5 胚移植(採卵から2日~5日後)

胚移植には、採卵後2~3日目に戻す初期胚移植と5日目に戻す胚盤胞移植があります。 移植時は、1~2個の胚をエコーを用いて柔らかいカテーテルを使用して行います。胚移植後は、約30分の安静後帰宅して頂きます。 また、透明帯(卵の周りの殻の部分)が硬い、または厚いため、ふ化が難しいと思われる場合や、良好胚を何回移植しても着床しない場合には、アシストハッチング(AHA)を行い、透明帯周辺にスリットを入れてあげることによってふ化しやすくする手技を行います。

STEP 6 妊娠判定(採卵から約14日後)

胚移植から約13日目に採血を行い、血中hCGというホルモン値によって判定します。

顕微授精(ICSI)

顕微授精は、男性の精子が少なかったり、運動性が弱い場合に行います。顕微授精も体外受精と同様に6つのステップで行います。体外受精との違いは、STEP3の工程です。

STEP 3 顕微授精(採卵日)

顕微鏡で見ながら卵の細胞質内に極細のガラス管を使って精子を1個ずつ注入し、受精させます。

凍結保存

胚移植後に残った胚は胚凍結が出来ます。胚凍結を行うことにより、次回採卵せずに凍結しておいた胚を融解して胚移植することが出来ます。

初めてご来院される方へ

初めての来院時に受付にて問診票をご記入頂いております。ボタンより問診票をダウンロードし、予め記入したものをお持ち頂くと受付がスムーズです。

  

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